「遊んで学べ」をテーマに、学習ゲームなどの制作をしています。

コンセプト

「イットイチドウニフシジュウサンケン」というどこか呪文めいた言葉を初めて聞いたのは、いつのことだったろうか?
多くの人にとって、それは小学校中学年の社会科の授業のなかで出てきた日本の47都道府県をさす言葉だったに違いない。そしてこの言葉が出てきた直後に、北は北海道から南は沖縄に至る長い長い「日本縦断 都道府県暗記の旅」が始まるのだ。
(個人的には、これがその後の社会化学習の基本形となる暗記型学習の初めの一歩であったように記憶している)

トチキングは、どうせならその日本丸暗記の旅を少しでも楽しく、少しでもとっつき易いものにすることを目的とした発案されたゲームである。ゲームに使われるカードには、各都道府県の名前とその地図上の形に加え、社会科の授業が都道府県の知識を扱うようになると間を置かずにその姿を現す用語である、第一次~第三次産業の実経済規模をベースにした「強さ」を表す数字と、それぞれの県の特産品や特に盛んな産業をモチーフにした「得意ワザ」を配してある。
このカードを用いて繰り返し遊ぶ中で、都道府県の名前とその主要産業を「なんとなく」頭の中に刷り込んでもらうこと、そしていざその知識が「暗記」の対象となったときに、「あ、この名物知ってる!」「こんな理由でこのヘンテコなモノは特産品の地位を占めるようになったんだ!」と、手で膝を連打してもらいながら納得してもらうための下地を作ること、それがこのゲームの基本的なコンセプトだ。

そのために、ゲームをデザインするに当たっては以下のような点に留意した。

1.ルールがシンプルであること。
ターゲットが小学校中学年前後となるため、あまり複雑でないルールを採用し、ゲーム参加が容易になるようにした。またルールをシンプルにすることで、一回のゲームに必要な時間を短くし、カードの回転率が高くなる(より短い時間で多くの都道府県についてのデータに触れられる)よう設定してある。

2.勝ち負けの意味が重過ぎないこと。(でも、「もう一回やろう!」と言いたくなること)
あくまでも最終的な目的は土地ごとの情報に繰り返し触れてもらうことにあるので、勝ち負けの決定要因に多分に運の要素を取り込み、テクニックの有無が勝敗に対して支配的になり過ぎないようにした。これにより、1回のゲームで圧勝したプレイヤーがいても、「もう一回やれば勝てるかも?」と他のプレイヤーに感じてもらい、継続的に繰り返しゲームをプレイしてもらうことができる。

3.繰り返し、都道府県、主要産業を意識するデザインとすること。
プレイヤーがカードを出すたびに、カードの強さの数字だけでなく県名や得意ワザなどを読んでもらえるようにデザインを行った。特に得意ワザはゲーム感を出すこと(おもしろさの向上)に加え、単なる数字の強さ比べに終わらず、個々の都道府県のキーワードを意識させる意味も担っているため「京野菜ボンバー」「たたみいわし叩き」など、なるべくインパクトの強いネーミングとしてある。

以上のような調整を行った結果、実際に幼稚園~小学校低学年にプレイしてもらっても、1回の勝負で終わるのではなく立て続けに10回以上の回数を連続してプレイしてもらえるゲームとして仕上げることができた。これにより、授業中の運用だけでなく、休み時間などのちょっとした自由時間に子供たちに自発的にプレイしてもらう、というスタイルでも十分に利用できるゲームとして仕上がっており、授業時間内での利用にとどまらない導入の垣根の低いゲームとして活用いただけるものと思う。

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